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塵袋

一弊と雲ふは獣のしぬるに限る字歟
常には其心也、但旅顔高、たヽかひのにはに、人弓お奪ふに籍丘の子助と雲ふもの、是おうちたおす、其たうるヽには、弊の字お用ふ、是は死には非ず、たヾたうるヽ也、注に弊は僕也と雲へり、顔高ふしながら子助おいころしつ、それおいふには殪(たうしぬ)と雲へり、是しぬる也、注には子助死也と雲へり、左伝に晋の驪姫が胙に毒いれたる事お雲ふ所に、犬子にあたふるに犬子弊、小臣にあたふるに小臣弊れぬと雲へり、共に弊の字お用たり、獣に限ざる歟、周礼注には、四足あるが死ぬるおば曰胔賜ずと雲へり、