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日本山海名物図絵

天王寺牛儈(うしいち)
備前備中の国おほく牛お飼て子お産す、則これお大坂天王寺におくる、天王寺孫右衛門と雲者、牛市のつかさなり、此人の印形なければ、諸国に売買すること協はずと也、年中備前備中より牛お引来ること日々にたえず、毎年霜月に牛市あり、近郷の百姓思ひ〳〵に牛お引来りて、互に交易売買す、これお牛博労と雲、すべて牛お商ふに直段相定る時は、互に牛に米おかましむ、是お売買の証拠とするかや、