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江戸名所図会

牛小屋 牛町〈○芝高輪〉にあり、〈延宝江戸図に、此地お牛の尻と雲とあり、〉牛お畜する家多く、牛の数一千匹に余れり、養ふ処の牛、額小く其角後に靡きたるお薮覆(やぶくゞり)と号けて上品なり、都て牛は行事正しく殊に早し、形婉にして精気撓ず、力量勝たるに、軛おかけ、重お乗せて遠きに運ぶ、人の用お助る事、其功誠に少からず、古は淀、鳥羽にのみありて、都の外には牛車なかりしに、御入国の頃より許宥ありて、江府にも是お用ゆる事となれり、余は駿河にあるのみにて、唯此三け所に限れりとぞ、