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安斎随筆

蟷蜋廿匹 一条兼良公の尺素往来に、蟷蜋廿匹進之候とあり、是は馬お卑下してかまきりの如くやせたる馬と雲事也、此外の書にも痩馬の事お蟷螂と書たるあり、俗に痩たる人お見てたうろぎの如くやせたりと雲は、蟷螂の雲ひ誤也、かうろぎと雲虫もあるゆへ、紛れて雲誤れる也、〈やせ馬お蟷蜋と雲事、故事あるか追て尋ぬべし、〉