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常山紀談
十五
黒田孝隆入道如水、関け原の乱の時、九州お打平げられしに、乗られし馬は、二寸計の黒き馬なるが、百会に手負といふ旋毛あり、如水此馬お指さして、われ此凶相おしらざるに非ざれども、人は万物の霊なりと聞きたり、人に勝べき万物なし、吾不道ならば凶相これより大なるはなし、此馬の毛きずにかゝはらずといはれしとぞ、