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古事記伝

天斑馬、和名抄に駁馬俗雲、布知無万(ふちむま)、説文雲、駁不純色馬也、〈布知お俗雲とあれども、俗称にはあらじ、〉また〓馬、爾雅注雲、四骹皆白曰骹、俗雲阿之布知と雲り、後世には夫知(ぶち)と濁て雲ども、凡て首お濁言は古は無ければ、布お清べし、今世にも清て雲処も有となむ、〈○中略〉書紀には即斑駒と書れたり、さて御国には本牛馬はなかりしお、百済国より渡し奉たる物ぞと雲説あれども、〈後漢書にも、御国には牛馬なしと雲り、〉此にかくある上に、八千矛神の所にも、御馬のこと見え、保食(うけもちの)神の項に、化為牛馬ことも書紀に見えたるおや、〈此斑馬は鹿お雲など雲るは、雲に足ず、〉