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近江国輿地志略
九十七/土産
大津馬
大津駅の駄馬なり、百五匹の定なり、天智天皇大津の宮お造らせたまふと、き大津馬飛騨の材木お運しこと、近江風土記の脱簡に見へたり、爾来大津馬と号し、和歌にも詠ぜり、理なる哉、彼鎌倉の生食といへる馬も近江より出たり、新六帖為家の歌に、関越て暮ればかへる大津馬おのがひとつれ道いそぐなり、今土俗、老さらぼへたるお、大津の馬のおひからしといへるも、旧き俚言なるべし、