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太平記

稲村崎成干瀉事
懸る処に、浜の手破て、源氏已に若宮小路まで攻入たりと騒ぎければ、相摸入道嶋津お呼寄て、自ら酌お取て酒お進め三度傾〈け〉ける時、三間の馬屋に被立たりける関東無双の名馬、白波(○○)と雲けるに、白鞍置てぞ被引ける、見る人是お不浦山と雲事なし、〈○中略〉
長崎次郎高重最後合戦事
長崎次郎、甲おば脱捨、〈○中略〉兎雞(とけい/○○)と雲ける坂東一の名馬に、金貝の鞍に、小総の鞦懸てぞ乗たりける、