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今昔物語
二十六
陸奥国府官大夫介子語第五
此父の介沙汰有事有て、御館に有て、久う家に不返りける程に、継母此郎等お呼取て雲く、此に人数有れ共、見たる様有て、女お殊に哀れにすとは知たりや、郎等の雲く、犬馬そら哀に為る人には尾不振様やは候ふ何に申し候はむや、人に取ても己は喜き事おば喜び、㑋き事おば㑋とこそは思ひ被取候に、無限御顧の替には生死も隻仰に随はんとこそは思ひ給へ候へ、〈○下略〉