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源氏物語
三十五/若菜
春宮に参り給て、〈○柏木、中略、〉六条の院のひめ宮の御かたにはべるねここそ、いとみえぬやうなるかほして、おかしうはべりしか、はつかになんみ給へしとけいし給へば、ねこわざとらうたくせさせ給御心にて、くはしくとはせ給ふ、から猫のこゝのにたがへるさましてなんはべりし、おなじやうなるものなれど、こゝろおかしく人なれたるは、あやしくなつかしきものになん侍るなど、ゆかしくおぼさるばかりきこえなし給、