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重修本草綱目啓蒙
三十四/獣
貓 ねこま〈和名抄〉 こま〈同上〉 あさくさまぬ〈古歌〉 からねこ〈同上〉
とら〈東国〉 かな〈同上〉 ねこ 一名狸奴〈卓氏藻林〉 女奴〈採蘭雑志〉 虎舅〈剣南詩稿〉 鼠将〈清異錄〉 狸〓〈事物紺珠〉銜蝉奴〈同上〉 玉狻猊〈異名事物〉 紅叱撥 銜蝉〈共同上〉 家豹〈故事成語考〉 黒貓、一名烏園、〈名物法言釈名の烏円同、〉白貓、一名白雪姑、〈清異錄〉 白老〈唐余錄〉
貓の毛色一ならず、秘伝花鏡に、以純黄、純黒、純白者為上、人多美其名、曰青葱、曰叱撥、曰紫英、曰白鳳、曰錦帯、曰雲図、如肚白背黒者名烏雲、蓋雪身白尾黄或尾黒者、名雪裏、拖鎗四足皆花及尾有花、或狸色或虎斑色者、謂之纏得過と雲、黒猫お暗夜に逆に撫る時は光お生ずと雲、酉陽雑俎にも、黒者暗中逆循其毛即若火星、俗言猫洗面過耳則客至とあり、集解に、或雲、其睛可定時、子午卯酉如一線、寅申巳亥如満月、辰戌丑未如棗核、本邦俗歌に六円く四八瓜子五と七と卵形にて九は針と雲、琅邪代酔に、有人授予占貓睛法曰、子午線、卯酉圜、辰戌丑未杏仁尖、寅申己亥棗核様と雲、事物原始に、子午一線、卯酉正圜、辰戌丑未棗核尖、寅申巳亥銀杏様と雲、集解とは小異あり、凡猫昼眠るものは夜善鼠お捕ふ、昼眠らずして食お求るものは夜鼠お捕ること能はず、俗にのらねこと雲、徐氏筆精に、猫不捕鼠者名麒麟猫と雲、又俗に老猫尾岐お成し、人お魅するおまたねこと雲説あり、酉陽雑俎及月令広義に、金華猫よく人お妖することお雲へり、金華は地名なり、集解に、貓死引竹と雲は、死猫お竹林の辺に埋むれば、その処へ竹生じ来ることなり、