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古今著聞集
十七/変化
観教法印が嵯峨の山庄に、うつくしきからねこの、いづくよりともなく出きたりけるおとらへてかひけるほどに、件のねこ玉おおもしろく取ければ、法印愛してとらせけるに、秘蔵のまもり刀お取いでゝ玉にとらせけるに、件のかたなおくわへて、ねこやがてにげはしりけるお、人々追てとらへんとしけれどもかなはず、行がたおしらずうせにけり、此ねこもし魔のへんげして、守りお取てのち、憚所なくおかして侍るにや、おそろしき事也、