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重修本草綱目啓蒙
三十三/畜
羊 ひつじ〈和名抄〉 一名、胡髯郎、〈述異記〉 青鳥〈同上〉 巻婁〈仇池筆記〉 髯鬚主 簿〈古今注〉 髯鬚参軍〈中華古今注〉 髯主簿〈典籍便覧〉 独笋子〈事物紺珠〉 主人 髯郎 忽旅罕〈共同上羔蒙古の名〉
氈根〈事物異名〉 飯牽 白石道人 忽爾〈共同上蒙古の名〉 羶籬菜〈類書纂要〉 羶根〈通雅〉 羔児〈訓蒙字会羔〉 肉 一名、肥羜、〈事物異名〉 肥腔 羜味 羸畜〈共同上人に贈名〉 胆一名、百草精、〈秘方集験〉 脂一名、味物脂、〈石薬爾雅〉
唐山にては畜て食用に供す、本邦にては京師には畜ふものなし、他州には畜ふ処もあり、皆漢種なり、希に観場に出す、形馬に比すれば小く、狗に比すれば最大なり、多くは淡褐色なり、白色の者もあり、頭は略馬に類して短し、喉下より胸に至て長毛あり、喜で紙お食ふ、此獣惡臭あり、羊羶と雲、唐山より白羊皮毛お連ぬる者お渡す、はらごもりお上品とす、臭気なし、用て裘、に作る、毛軟にして綿の如し、母羊の腹中にあるお取る、これお胞羔〈天工開物〉と雲、已に長じたる羊は惡臭あり、故に羊皮裘母賤子貴と雲ふ、一種綿羊、今舶来あり、その毛極て細くして長し、天鵝絨(ぴろうど)お織り、哆羅絨(らしや)お製すべし、唐山にて母羊の毛お以、毛氈に作ると雲ふ、羊皮は甚薄くして紙に代へ書画おなし、書皮に造る、