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百品考

麢羊 和名かえしし にく〈○中略〉
郭璞爾雅註、麢羊似羊而大、其角円鋭、好在山崖間、
諸説紛紛たり、爾雅及本草蘇恭陳蔵器の説に拠れば、かもしヽに充つる穏当とす、かもしヽは 東北国に多し、形羊に似て微大にして、毛色蒼黒にして至て柔軟なり、首も羊に同じ、両角駢生 じて長さ四五寸許、細直にして末下に曲る、色黒して半より本の処に縮文多し、末は細して鋭 なり、角のうらにすれたる痕あり、此は夜山中樹枝、或は岩角に掛て眠る故なり、此皮敷物に用 て良なり、時珍も以為座褥と雲へり、かもしヽと雲も此義なり、かもとは毛氈の古名なり、又に くも褥の音転なり、又舶来の羚羊角蘇容の所説ものなり、此と同名異物なり、