[p.0246][p.0247]
重修本草綱目啓蒙
三十五/鼠
蝟 くさふ〈和名抄〉 はりねずみ(○○○○○) 一名偸爪蜮〈食物本草〉 刺鼠〈薬性纂要〉 高所音猪〈郷薬本草〉 古所音猪毛〈村家方蝟皮〉 脂、一名猛虎脂、〈石薬爾雅〉
此条本草彙言に刺蝟皮に作る、和産なし先年水戸公生なる者お取よせ、常陸山中に放たれしことありと雲ふ、蝟皮は古渡あり、長さ一尺余、闊さも尺許、全く剥たるものなれども、頭脚尾備るもの希なり、生の時体肥へ頭脚尾倶に小くして、全身皆刺あり、隻腹には毛ありて刺なし、刺は長さ三四分にして粗く、先後尖りて透明なり、色黒きもの色白きものあり、人お見れば頭脚お隠さん為めに、円かに縮屈して栗彙の如し、故に彙と名く、刺お連ね皮お用て治痔と雲、肉は舶来なし、