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重修本草綱目啓蒙
三十二/原禽
〓鼠 もみ〈和名抄〉 むさヽび もヽが(○○○)〈共同上〉 もヽ(○○)〈土州阿州〉 もま〈同上薩州〉 ももぐは〈東国〉 そばおしき(○○○○○)〈西国〉 のぶすま〈古歌畿内〉 ばんどり(○○○○) ぬれで(○○○)〈飛州〉 一名飛〓〈埤雅〉 飛鼠〈広輿記〉 催生〈同上〉 催生鼠〈王会新編〉 山鼠〈訓蒙宇会〉 松鼠〈同上〉 夷〓〈羅浮山志会編〉 飛猩〈同上〉城州山中には産せず、他国深山には多し、古歌には、和州の春日山高円山、摂州の三国山等に詠ぜり、今も春日曲に多し、形は猫に似て瘠、紫褐色、大尾身より長し、腹下黄色、喙頷雑白色、四脚肉翅尾に連る、翅お開けば傘お張るが如し、常に木稍に穴居す、夜出て能飛ぶ、然ども隻高より飛下るのみ、高に上ること能はず、
増、夫木集に、春日山夜深き杉の梢よりあまた落くるむさヽびの声とあり、今も和州春日山に多く居て、提灯の火お見れば眼前へ飛落ると雲、常に松の実お取り食ふものなり、形大抵猫の如くして、全身二尺余、頭円く目大にして兎の目の如し、全身黒褐色なり、腹は淡色、尾は栗鼠の尾の形にして、至て長くして、体に余ること一身有半許、常に尾お上へ反折して体お覆ふ、伏翼の如き肉翅ありて、常に脇腹にたヽむ、飛ぶ時はこれお開く、開きたる形四角に見へて折敷の如し、故にそばおしきの名あり、此れ亦伏翼の如く、肉翅先に爪あり、