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重修本草綱目啓蒙
三十二/原禽
伏翼 かはほり〈和名抄〉 かふり(○○○) かくひどり かどり〈江州〉 一名檐 鼠〈函史〉 元老鼠 檐老鼠〈共同上〉 飛翼〈卓氏藻林〉 倒折〈古今注〉 倒掛〈南寧府志同名あり〉 飛鸓 皮翼〈共同上〉 蟙 蟔〈康熙字典〉 〓蟔〈同上〉 勃叱鼠〈郷薬本草〉 夜明沙 一名千里光〈銀海精微〉 黒殺星〈事物異名〉 煉柴精〈博聞類纂〉
形鼷鼠に似お薄き肉翅あり、肉翅の肩に鉤あり、四足肉翅尾に連る、口大にして細歯上下に並ぶ、黄昏より群飛して蚊蚋お食ひ、昼は屋隙に入て伏す、秋後は飛鳴す、夏月は鳴かず、全身黒色、巌洞に棲者は褐色なる者あり、白色なる者は希なり、屎お天鼠屎とす、即薬用の夜明沙なり、形鼠屎の如くにして小く、両頭尖り色黒し
増、集解、時珍の説に、夏出冬蟄と雲は誤なり、冬と雲へど毛蟄するものに非ず、伏翼(かはほり)の性、山椒及び酒お好む、小児紙に酒、お浸し或は紙に山椒お包て、黄昏の間飛、行するお伺て、その中へ投ずれば、即罹りて落つ、又人の手足等お咬て離し難き時、山檄お側に置けば即ちはなすものなり、