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倭訓栞
前編十/佐
さるぎ 厩にて馬おつなぐ木およべり、猿木の義也、猿お馬の祈禱にするは、郭璞が説によるとぞ、又猿の異名お馬留といへり、されど牧馬に猿が乗ば、馬多ぐ弊るといふめり、河童(かはらふ)はよく馬おなやますものにて、甚猿お畏るゝよし、物語多き事なれば、此故なるにや、馬経にも厩に母猴おかへば、馬の疫癘お除くよし見えたり、又宋朝に馬櫪神あり、其形像両足に、鶺鴒と猿お踏み、両手に剣お執とぞ、是は陰陽家厩鎮の神也、