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袖中抄

すがる(○○○)なるの
春なればすがるなる野のほとゝぎすほと〳〵いもにあはずきにけり
顕昭雲、〈○中略〉草のすのかれてかるくなると雲歟、〈○中略〉但古今歌に、すがるなく秋の萩原あさたちて旅行人おいつとかまたん
此すがるおば、無名抄、綺語抄、奥儀抄、童蒙抄等に、みな鹿お雲といへり、或はわかきしかともいへり、たしかなる証文は見えねども、かやうに申伝へつれば、和歌の事はさてこそは侍れ、其中奥儀抄には、さそりと雲虫おもすがると雲、〈○下略〉