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春波楼筆記
間宮林蔵と雲ふ人、蝦夷の奥へ冬月行かん事お好みて、文化午年〈○七年〉十一月、此地お発して、辛未正月にかへる、六月二日、予〈○司馬江漢〉が家に来る、冬月は海川皆氷となる故に、其上お渡り行く、故に行きやすし、唐太の地に、となかひと雲ふ獣あり、大さ大八車お引く牛程ありて、頭に大なる角あり、全体鹿の如し、蹄もわれてあり、如牛如馬畜ひて甚用おなすと雲ふ、おらんだにてはれんしいると雲ひ、支那にては順鹿(○○)と雲ふなり、