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重修本草綱目啓蒙
三十四/獣
麞 のろ〈朝鮮〉 一名赤吏〈抱朴子〉 黄羊〈六書故〉 獐羔〈訓蒙字会子の名〉
和産なし、舶来のこびと韋と呼ぶもの此の獣皮なは、柔軟にして〓及衣服に製し、弽(ゆがけ)の大指の処には必此韋お用ゆと雲ふ、清商は末皮と書す、往歳水戸黄門公、朝鮮の産お常州山中に放たると言伝ふ、形は鹿に似て小く、黄黒色角なく、牙ありて口外に出ること野猪の如し、此お獐牙と雲、然れども形のみにして物お害すること無く、麑の牙ありて物お害するに異なり、老獐は牙愈見はる、これお牙麞と雲、牝には牙なし、耳は形三に分れて他獣に異なり、獐耳細辛(すはまさう)の名は、葉の形此耳に似たるお以てなり、