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重修本草綱目啓蒙
三十四/獣

和産詳ならず、古よりくじか(○○○)と訓ずるは、麂下の几お九字に見誤りたるなりと雲、此皮舶来あり、いんでんと雲、又いんでいとも雲、是応帝亜(いんでや)の音転にして、天竺国の総称なり、その皮至て柔軟にして、佩具に製するに上品とす、唐山にて靴及襪に用れば湿気お避ると雲、天工開物に、麂皮且御蝎患、北人製衣、而外割条以縁衾辺、則蝎自遠去と雲ふ、いんでんお清南は烏羊皮と書する時は、応帝亜より出る皮は、麂のみに限らざるべし、