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燕石雑志

恠刀禰〈九尾附〉
唐山演義の書に、九尾の老狐化して姐妃となり、紂王お虫惑せしよしお作りしかば、こゝにも好事のものありて、近衛帝の宮嬪玉藻前といふ狐妖お作り出せしは、謡曲の滑稽なるが、何人か序あやしう綴りなして、三国伝来の怪談なりぬ、この草紙久しく写本にて行れしお、近曾絵にかき板に鏤てます〳〵行れ、九尾の狐といへば、姐妃玉藻が事也と侲子も合点せり、今按ずるに、九尾の狐は瑞獣也、呂氏春秋、禹年三十、未娶行塗山、恐時暮失嗣、辞曰、吾之娶必有応也、乃有白狐九尾而造干禹、禹曰、白者吾服也、九尾者其証也、于是塗山人歌曰、妥々白狐、九尾龎々、成于家室、我都悠昌、于是娶塗山女、白虎通、狐九尾者何、狐死首丘不忘本也、明安不忘危也、必九尾者何、