花月草紙
四
狐の愚
狐のよな〳〵くるお、かならず餌与ふる者ありけり、かれはけものゝうちにて、ざえあるものなれば、かくしなばかれも恵おしりて、むくゆることもありなんとて、日ごとに怠らずあたふれば、かれもなれになれてけり、ある日うま子生れてければ、いとことしげさに、二日ばかり餌あたふることおわすれにければ、きつねうらみいかりてや、そのうま子おくひてけりとそ、
狐のよな〳〵くるお、かならず餌与ふる者ありけり、かれはけものゝうちにて、ざえあるものなれば、かくしなばかれも恵おしりて、むくゆることもありなんとて、日ごとに怠らずあたふれば、かれもなれになれてけり、ある日うま子生れてければ、いとことしげさに、二日ばかり餌あたふることおわすれにければ、きつねうらみいかりてや、そのうま子おくひてけりとそ、