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花月草紙

狐の愚
狐のよな〳〵くるお、かならず餌与ふる者ありけり、かれはけものゝうちにて、ざえあるものなれば、かくしなばかれも恵おしりて、むくゆることもありなんとて、日ごとに怠らずあたふれば、かれもなれになれてけり、ある日うま子生れてければ、いとことしげさに、二日ばかり餌あたふることおわすれにければ、きつねうらみいかりてや、そのうま子おくひてけりとそ、