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冠辞考

しながどり 〈いな あは〉
万葉集巻七に、〈摂津のうた〉志長鳥(しながどり)、居名野乎来者(いなのおくれば)、また〈旅のうた〉四長鳥(しながどり)、居名之湖爾(いなのみなとに)雲々、〈集中に猶多し〉こはにほ鳥の卒(い)とつゞけて、卒(い)とは雌雄ひきいるおいふ、抑しながてふ事は、既神風の条にいへる如く、かの級萇津彦(しなつひこ)、級長戸辺(しなとべ)命は、大御神の息より成給へば、志長と息長(おきなが)と同じ事也、されば志長鳥と息長鳥とは同じ物にして、息長鳥は鸊鵜(にほとり)の事なる也、