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嬉遊笑覧
八/方術
醒睡笑鈍なるものゝ条に、人くらひ犬も虎といふ字お手の内に書てみすれば、くらはぬと教られ、後に犬お見て、虎といふ字お書すまし、手おひろげてみせけるが、何の詮もなくほかとくふたり、悲しく思ひ、ある僧にかたりければ推したり、其犬は一円文盲にあつたものよといへり、この呪もと漢土の法なり、博物類纂〈十〉、遇悪以左手、起自寅吹一口気輪至戌稲之、犬即退伏、〈掏宜作掐、字書に、爪掐也とありて、つかむことなり、〉