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塵袋

犀角水遠去雲ふは実事歟、なべての角去事なし、通天犀角雲に去徳有にや、角本よりさきまで白、ほそ筋通りてねり糸お引けるが如なるお通天角雲ふ、是水お去る事三尺と雲る也、鳥是お見必驚、犀角生やうに三不同あり、一鼻上あり、馬鼻のさきに爪の生たる様なる事也、二は額上あり、三は頭上にあり、薬頂角用、物登たがる物也、のけに倒ぬれば起きあがる事なし、されば朽よはき木土立置けば、犀是登朽木折落て起もえあがらず、足手おあがく時、大杖にて打殺也、むはらお好食故、常口切血たる、山犀とてに種類あり、善犀角水去のみに非水底てらす、唐太平州雲、国牛渚とまりと雲所あり、水深はかり難、晋温喬と雲人ありて、犀角其水入たるに水底曇なく見、異類水族が無隠れ皆見けるに、其夜温喬夢此淵底の生ものども来恨けり、幽明途異何故我等栖顕とぞ雲ける、晋書見たり、群書治要のせたり、人秘事聞顕見顕するおば禍招中たち也と誡たる次此事雲へり、えせ〳〵しき人為身知無用事おも顕さんとする也、隠るべき物顕はなる物各別なれば、顕はなる物も必しも不可隠、隠す物おも押不可顕、おのが好随幽明途異也雲是也、幽かくれたる物、明あらはなる物と雲心也、