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東雅
十八/畜獣
象きさ 象は西南夷の獣也、古の時此国に来れりとも聞えず、然るお呼びて、きさと雲よひしは、其牙にりて、竟に獣の名の如くなりしと見えたり、倭名抄に、木部に唐韻お引て、橒は木文也、漢語抄にきさといふ、或説にきさは蚶之和名也、此木文、与蚶具文相似、故取名、と註せり、さらば古には、凡そ物の文あるものお呼びて、きさと雲ひけるなり、象の如きも亦其牙の文あるに因りて此名あるなり、