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百品考

独峯駝
本草綱目、李時珍曰、土番有独峯駝、西域伝雲、大月氏出一封駝、脊上有一峯、隆起若封土、故俗呼為封牛、亦曰〓牛、
文政四年蛮舶雌雄お載来る、形ち牛に似て大に、高さ八尺許、頸至て長し、羊首に似て恰好より 小なり、目上には毛長く聚て眉の如し、口は下唇微しく長し、前歯は下のみにして、上齦は歯な し、奥歯は上下共にあり、草食して牛の如く齢(にししか)ものなり、全身蒼褐色にして、各別長毛なし、尾は 豬に似て本は短毛にして、末に長き毛あり、脚は三節にして他獣に異なり、背に肉峯一つあり、 大なる瘤の如し、峯上に長毛ありて四方に垂る、蹄は肉にして指頭に小爪あり、牛馬の足に異 なり、性至て柔順にして、能人に馴る、糞は至て小にして円く、枇杷の大さなり、即独峯駝なり、真 の駝は背上に肉峯二つ隆起す、自然鞍の形ありと雲、