[p.0468]
本草綱目訳義
五十一/獣
海獺 うみおそ うみうそ〈誤〉 うみかぶろ あしかいよ〈筑前〉 とヽの とみち〈紀州、古訓日本紀、〉
是海中の獣也、水獺に似たり、細長くして丸くこへてあり、大てい長さ四五尺、又一丈になるもあり、多は四五尺、頭も水獺の如く口尖り出、全身短き毛あり、和らか也、青黒し、しき皮にする、耳小也、口わきに長毛あり、大也、あたまの次、左右のひげある処に長きひれあり、長さ一尺巾四五寸厚きもの、尾は獣の尾の如く至て小也、夫故かくれて見へず、其下にひれ左右三つあり、前のひれと同して、巾広して末に爪五つならび、其末指の如く五つに分る、此獣爪より先に指の形のものあり、此獣は海中より群り上る、石上にねむる也、其内に一匹寝ずの番おする、舟近よれば鳴てわきおおこしてとび込也、海中にておよぐは、からだ半身以上水上に出ておよぐ、夫故浪立也、冬は塩にひたし持来りて、松前のおつとせいと偽る、奥州にてはおつとせいは希也、