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紀伊国続風土記
物産十下
木狗(くろんぼう)〈本草 俗に雷獣といふ、大抵形小狗の如し、体細く尾長く、全身黒色にして、咽の下より胸に至りて、一通の赤黄色あり、歯爪甚堅利にして飛走甚疾し、天気陰晦し、又風雨の時に其勢益烈し、其糞香ありて麝香の如し、〉
先年より高野山奥、及在田郡山保田庄山中にて捕へ獲る事間(まヽ)あり、日高牟婁両郡の山中にも 亦あるべし、土佐には他色のものお産すといふ、いまだ見当らず、