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本草綱目訳義
四十二/虫
渓鬼虫
附錄、水虎 がわたろ(○○○○) がわたろう〈九州〉 わわつは(○○○○)〈九州越後、佐渡、〉 かわら〈越前、播州、読州、〉 かつは〈古歌、江戸、仙台、〉 かわのとの〈九州〉 かわこ(○○○)〈雲州〉 かわこぼし(○○○○○)〈勢州山田〉 かわらこぞ う〈勢州白子〉 かたろ土佐 ぐわたろう〈同〉 かうこ(○○○)〈備前〉 かうらわろう(○○○○○○)〈筑前〉 てがわら〈越 中〉 えんかう〈周防、土佐、伊予、〉 えんこ(○○○)〈予州松山〉
是は大川筋に居る、京には至て少し、能く人おたぶらかし、川に引込て取る也、兎角相撲おとりて深き処に引込んとす、大和本草に委く出たり、黄瓜、西条柿お好む、あさの灰、とうきびお悪む也、美濃越後に至て多し、形は人の如く顔異にして、目丸く黄色、鼻は尖て先え出て、狗の鼻の如し、下に口あり、是も狗の口の如し、歯は亀の如く多くならび付く、奥歯尖て上下に四つあり、頭に短き髪あり、色赤し額に小穴あり、大さ蛤ほどあり、深さ一寸ぐらい、是に水あれば力強し、水減と力よわし、頭の色青黒、背に甲あり、亀甲の如し、色も同じ、腹にも板あり、堅きもの也、然れども亀の如く筋なし、黄色にして少し黒みあり、脇腹に白きやわらかな筋あり、窮処にて握ると動かず、手足も人と同じ、至て長し、手は膝より下る、形は丸くして小く、青黒して黄お帯る、指も人の如にして短し、爪は至て長して、指四つ宛あり、手足にも水かきあり、手足お縮ると甲の内に入る亀の如し、伸ると肱膝ともに曲る、全体甚だ鯉臭ありて、ねばるもの也、故にとらまへ惡し、是はへくそかづらお手に巻とらへる、又相撲お取るも勝と雲伝ふ、