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水虎考略
後編
分類故事要略雲、封は小児の形の如くなるものとあれば、かわらふの類にや、関東の人はかはつはと雲也、豊後国多あり、人おも牛馬おもとるなり、形三歳の小児の如く、面は猿に似て、身に異毛あり、頂くぼくして、水あれば且強し、水無れば力お失ふ、或人とらへてこれお殺す、きれどもつけども通らず、麻穣おけづりてさせば能通ると雲伝ふとあり、〈安〉按、封は是に非ず、或は水虎に当つ、亦是未、吾本州にて川小僧或はかはらんべと雲ふ、これに捕れたる者適有りと伝ふれども、正く其形状お見たる人無し、大和本草に河童お載、かはたらうと傍命す、而雲、此物好て人お相抱きて角力、其身涎滑にして、捕捉し難し、腥臭満鼻、短刀にて欲刺不中、角力人お水中に引入て殺すことあり、人に勝こと能はざれば没水而見えず、其人忽恍惚として如夢而帰家、病こと一月許、其証寒熱頭痛、遍身疼痛、爪にて抓たるあと有之雲々、今此説の詳なるお観れば、西土には適これに逢ふ者有りと見ふ、これに逢ら病むに、しきみお煎じて飲めば愈ふと、一書に見る、中華の何に中たるお知らず、
右尾人山本格安が、続和言黙驢編時令部に載す、