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東雅
十七/禽鳥
禽鳥の類おとりといふ、古語にはまたととのみもいひしかば、そのりといひしは詞助也とこそ見えたれ、飛翔おとぶといひ、捷疾おとしといふ、是等の語、鳥によりていひし所なるにや、又其捷くして、飛びぬれば、烏といふ名のありけるにや、今はた其詳なる事お知るべからず、〈即今朝鮮の方言に、鳥読てちよといふが如きも、とといふ声の転ぜしに似たれど、是等は彼国の方言にもあらず、其の字お読むの音なれば、此のことばのかしこに伝はれる所とも聞えず、〉