[p.0511]
閑田耕筆

飼鳥お好む人は非にして、飼るゝ鳥のやうお知る人にきけば、奇特なるものなり、巣ながらに畜れて、籠の内おおのが所とし、山野の広莫なるおしらず、子鳥の時は付親の音お大事と聞うけんとす、親鳥と呼れては、子鳥あまたつどへるお、門弟子のおもひおすらん、先音おたてんとしては、能餌おえたゝめて後、あるはしばし休らひ心おしづむるさまにて鳴出るが、甚つゝしみて引色まで、まさしくくり返し〳〵教る趣なりとぞ、人は教るもまなぶも利欲といふものの病になりて、其正お得ざるも多きに、小鳥の振舞感ぜざらんや、