[p.0523][p.0524]
喚子鳥

えがひこしらへ用の事
一すりえといふははいざこおやき、ほし米とぬかのいり粉、青葉の汁にてこねたるものなり、又その鳥により生えはつたい多少のかげんあり、またくるみ入も有、いさい左りにしるしあり、一なまえははいざこ小ぶなまじり、その外何にても用魚いろ〳〵まじりたるもくるしからず、しかしはいざこおよしとす、
一はつたいはくろ米壱升、ぬか壱升五合のつもりにて、両方ともいり、粉にひきふるひ、はつたいにするなり、此はつたいは何鳥にても、右のかげんよし、
一あおみはせり、又大こんば、又はなのは、又ははうきゞよし、
一くるみは、火にてあたゝめたるがわりよし、
一すりえの仕用は、すりばちにて、さきへあおみおすりて、其後なまえお入、よくすり、のりのごとくなりたる時に、はつたいおいれ、せつかいにてよくこねまぜてよし、又くるみ入るゝ鳥は、なまえ入るゝ時くるみ入、するべし、はつたいお入、まづ水すこしづゝ入て、こねまぜてよし、はつたい壱匁に、なまえ四分いるゝお四分えといふ、五分いるゝお五分えといふなり、はつたい壱匁に、生えも壱匁入お当分えといふ、はつたいより生えおおほく入るお、さゞいえとも、つよえともいふなり、つよえこのむ鳥お、さゞいと申ゆへ、さゞいえといふなり、
一あはせ粉といふ仕用あり、是はすりえむつかしき時に仕る事なり、小鳥少々かふ者のために、こゝろやすくよき事なり、仕用はまづ七分えの鳥ならば、生え七匁にても七拾目にても、粉にはたき、右のはつたいなまえ七分に、壱匁のつもりに合せ、よくませて、うすにてひきふるひ、何ほど成ともあおばのもみ汁にて、入用ほどこねくはせて、よし、右のあはせ粉、当分えのくらいに仕おく時は、うすえの鳥にはつたいおまぜて、五分え四分え、そのぶんりやうなにほどのかげんもなるべし、
一つみえといふは、あは、ひえ、きび、米、えのごま、くるみ、此類にてかふ鳥なり、つみえの鳥は何にても水おかふなり、その外木のみ、草のみ、むしるいこのむ鳥あれども、むつかしき事なれば、こゝろやすきえにてかひつけるなり、
一しらえといふは、すりえにあおみお入ずして、生えと粉とくるみ、此三色ばかりおいふ、さしえとは、ちいさき間はひとりぐいせざるゆへ、へらのさきにえお付、くゝめくはする事おいふ、
小鳥煩ふに薬の事
一諸鳥えおくはぬ事あらば、成ほどからきとうがらしおきざみ、水につけ、その水あかくなる水よとお、うがらしともにちくに入かふべし、其みづおすいてえにつくなり、〈○下略〉