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視聴草
五集九
雀合戦 〈森町〉 大洞寺
右境内奥八町計之間、雀合戦有之、其有様誠に珍事に御座候、右合戦去月廿九日より今日迄〈○原書に丈化十一二頃かとあり、〉六日之間、日々あつまり、東西に別れ戦ひ申候、西方之雀者鳩程も有之東方之雀は平生之雀也、凡町数五六丁の間お隔、此方又鳶烏集り居、打死之雀おくらわんとす、勢ひ強く不協体に而、一昨日に合戦に東方之雀お取らんとする一羽の雀鳶の頭に喰ひ付、其間に又々十羽程雀一むれ来り、たちまち鳶お追散し、一羽の鳶既にあやうき所江、西方之大雀七八羽飛来り、漸々鳶お助けたり、誠に珍敷、見物之人火鋪、十町程の間者爪も不立、先荒増申上候、
二月五日
猶以合戦初りは昼七時過より、入相の鐘お限りて戦ひ申候、大洞寺〈江〉御参詣御見物御出待入候、
〈見附宿〉銀蔵 〈浜松宿〉御問屋中様