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百千鳥

諸鳥巣癖之事
島ひよ鳥は、巣くせいろ〳〵有物也、玉子産て捨る事、毎年同じやうなる日取に捨る物也、又子かへりて直に捨るも有、二三日置て捨る有、一度くせ有時は、例年かはらず捨る物也、用立ず、癖なき子育のよき鳥は調法す、年々能子出来るもの也、文鳥は春子出来たる鳥にても、二番巣にいたり、色々癖出て巣も捨、又は子かへりても捨る、夫ゆへ又巣くせあしき鳥も、又其時によりすら〳〵とよく子育上るも有、捨られぬ物なり、能かゝる男鳥は秘蔵すべし、すくなし、十姉妹たんどくは、随分巣癖なく能出来る物なり、此類巣捨たり、又子お捨たるは、とかく何か障りあるもの也、おどろくやうの事有と知るべし、はヽ鳥、相思鳥、巣にかゝりては、度々見る事悪し、気荒さ物にて、直に巣お捨たがる物也、玉子二つ程産たらば雄お上げてよし、朝鮮目白も玉子二つ三つ産て、男鳥おあぐべし、常に庭籠の内にて餌お置所お、此類の所は鳥籠の口広く作りて、其内にて餌お喰せならはせて置事よし、上る時にむぞうさに取れるなり、