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嬉遊笑覧
十二/禽虫
昔の鳥籠は今の丸き虫籠に似たり、鶯うけ取渡しの事、貞順故実集〈天文永禄頃の記〉鶯の事、右にすえ候て置、挟間お人の前になし、先緒おとき蓋おあけ、左の方にあふのけ置、籠お右にて上壱つ足の方お人の前へなし、蓋に据候てこおひお取、我前に置、さて蓋共に鶯お桶の上に据上候て見せ申、扠こおひかつけ鳥お桶に入、蓋おして緒お結渡し候、又緒お不結して渡候も能候、請取候人、緒お結候ても能候、少略儀にて候といへり、籠丸くして鞠の如く、下の台に足三つあり、虫籠の台の如し曲(わげ)物の外家(そといへ)あり、桶といふは是なり、蓋あり、身まろき透しあり、狭間といふは是なり、緒は諸の箱の緒の様に、かた〳〵は輪になり、端は二つなり、図は職人尽に見えたり、