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百千鳥

庭籠之事
庭籠はむかしより飼来たる鳥好、皆屋根おして夜は前へ戸おたてたる物也、明和二酉年より、予が庭籠は天井皆かな網にして、総体も又鉄網にして内へ木お植、片々に小屋根お付て、其内へ巣箱いじみの類お釣る、しまひよ鳥お放すときは、巣ざるお其下へ釣る、夜も戸なし、野に住心にておく時は、子もかへり能、子数も多く、古鳥とても随分かまひなく子出来る也、右の庭籠にしてより、へき鳥も先年子かへし、随分育てたり、へき鳥の巣は、十姉妹におなじ、子餌立もやはり文鳥十姉妹同様なり、子巣立ても赤黒き物也、朝鮮目白も此庭籠にして、年々巣おなしたり、愚案の伝なり、