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安斎随筆
前編九
一古今三鳥伝 古今集三鳥伝は、よぶこ鳥、いなおほせ鳥、しなが鳥の三と雲、〈春の上よみ人しらず〉おちこちのたつきもしらぬ山中におぼつかなくもよぶこ鳥かな〈秋の上よみ人しらず〉我かどにいなおほせ鳥のなくなへにけさふく風にかりはきにけり、しなが鳥は古今の歌には見へず、拾遺集神楽歌にあり、古今三鳥の伝と雲は誤也、古今には二鳥也、〈一挑にもゝちどりお入て三鳥也、古今もゝちとりあり、○中略〉古今栄雅集に、古今三鳥の一也とあり、呉竹抄にも伝受ある鳥のよし見へたり、