[p.0544]
東雅
十七/禽鳥
鶴〈○中略〉 又一種青蒼色のもの、俗に真名鶴(まなつる)といふあり、旧説にまなづるは、一説に白鶴也と雲ひけり、〈藻塩草に〉上古の俗、真名井真名鹿など雲ひし語に依らむには、白鶴お呼びて雲ひしも知るべからず、此物は爾雅に鶬鴰と見えしもの、宋玉招魂に煎鴻鶬といひ、景差大招に炙鴰蒸〓といひしものにて、古人多く食ひし所と見えたれば、まなとは櫛八玉神の天之真魚咋(あまのまなぐひ)と雲ひしが如く、その食ふべきお雲ひしも知るべからず、亦俗に黒鶴といふ者の如きも、鶬鴰の類と見えけり、