[p.0560][p.0561]
重修本草綱目啓蒙
三十二/水禽
〓鶖 おほとり(○○○○) うしまつどり(○○○○○○)〈江戸〉 一名青鶴〈楊州府志〉
水鳥なり、偶海浜に来ることあり、先年備前岡山の海辺百間川と雲地に来り、五六日の後飛去ると雲伝ふ、高さ六尺許と雲、一説に一丈許と雲ふ、形鶴の如く、灰色にして青色お帯ぶ、鳴声ぽうぽうと雲ふが如し、故に土人ほう五郎(○○○○)と称せしと雲房州及肥後にも来りしことあり、筑前にも時時来り、翼お張れば二三間もあるよし、貝原翁稲氏に答る書に見たり、
増、文政三庚辰夏、阿州那賀郡中の庄村の江中に来る、これも鵜鶘の如く、觜下より咽に至り、囊の如きものお垂る、即胡なり、水お飲むに胡中水お留ること一斗の大なり、これお鸛鶴に比すれば、鸛鶴は小鳥の如し、暮には鳴門の辺に往き、朝には必ずその江中に飛来る、これお生捕んと欲して、大網お製すれども、恐れずして是お破ること塵雉お払ふが如く、惟自若として其処お去らず、国君これお殺すことお惜む、故に窺天鏡お用てこれお写生す、数日にした去る、