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閑田耕筆

年毎に洛北今宮の御旅所、四条河原の納凉などに出る、奇獣異鳥の類さま〴〵也、浪華はまして是お売買もの多しとぞ、其人語につきて伎おなすこと、見ぬ人に語らば、うけがはじとおもふ計也、〈○中略〉がらん鳥と名付て、鵜鶘(ていこ)お見せしが、頷下に袋有りて、数升の水おのましむるに能収む、たゞし面赤くなり、眼おはたらかして頗苦しむさま也、川沢にてかく水共に呑て魚お取となん、其水は吐出せり、指揮せるものゝ言に従ひ、進退せる抔、教ればおしへらるゝもの也と感じぬ、