[p.0602]
物類称呼
二/動物
鸊鵜かいつぶり〈是和歌に詠ずるにほどり也、俗にいよめといふ、〉 畿内及中国東武共にかいつぶりといふ、上総にてみほ(○○)といふ、長崎にては鳰(にほ)といふ、土佐国にていちつぶり(○○○○○)、又いよめ(○○○)といふ、遠州にてめうちん(○○○○)といふ、東国にてむぐつ鳥(○○○○)、武の神奈川にてでつてうむぐつてう(○○○○○○○○○)といふ、上総かはぐるま(○○○○○)といふ、信州にてめうない(○○○○)と雲、駿河にひやうたんご(○○○○○○)といふ、仙台にてかはきじ(○○○○)といふ、〈○中略〉
今按に、鳰はにほひ鳥の意也、〈○中略〉にほふとは香のことにあらず、艶色のこと也、光源君のこと お、桐壼の巻に、此御にほひにはといへり、又法橋昌長翁のいはく、研師刃お研上て、それに色お 付るお、にほひおつけるといふ、則鳰の脂お引となり、