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東雅
十七/禽鳥
鴛鴦おし〈○中略〉 陳蔵器本草に拠るに、此にいふおしは、即鸂鶒なり、楊氏が説の如し、されど唐人の詩に、紫鴛鴦と賦せし則此物なれば、鴛鴦の字用ひむも、あしかるべきにもあらず、おしといふ義不詳、〈俊水朱氏も、おしは鸂鶒也、此国にして鴛鴦おば見ず、本草綱目に鸂鶒、形大于鴛鴦と雲ひしは、誤れるなりと雲ひけり、東璧が鴛鴦の註お見るに、此に雲ふおしに同じからず、蔵器本草には、形小于鴨と見えたり、俊水の説誣ふべからず、此物の名は、上古の時は聞えず、さらば後の人其雌雄未嘗相離の義によりて、雄雌の音おもて呼びしなるべし、〉