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空穂物語
吹上之下
なぎさより、都鳥つらねてたつおりに、はまちどりの、こえ〴〵なくおきゝて、あるじの君、
みやこ鳥ともおつらねてかへりなばちどりははまになく〳〵やへん、しゞうわか君おばまさになどて、
くもぢおばつらねてゆかんさま〴〵にあそぶ千鳥のともにあらずや、少将、
都鳥千鳥おはねにすえてこそはまのつとゝて君にとらせめ、ゆきまさ、
きみとはゞいかにこたへん浜にすむちどりさそひにこしみやこ鳥、などて一夜あそびあかす、