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風俗文選
三/譜
百鳥譜 支考
星月夜のおぼつかなき比は、磯のちどりのおほくあつまりいて諦は、心もきゆべくてかなし、ただ人の別野なる所に、水の湛もいと浅くて、昼は来馴てあそぶらん、戸などかいやりたる音に驚て、忽二三声のすみ行は、其あとも遥に見送られて、河風寒しと思ひ出たるは、またるゝ人もなくて何にかはせむ、