[p.0659]
東雅
十七/禽鳥
鴗そび 旧事古事等に、翠鳥読てそびと雲ひしお、日本紀には鴗の字お用ひて読む事は同じ、〈○中略〉そびの義不詳、今俗にしようびといふは、そびといふ語の転ぜしなり、又かはせみともいふは、みやまそびといふ物あるに対していふなり、かはとは川也、みやまとは深山也、せみとはそびの転ぜしなり、〈そといひせといふは転語也、そびとは其小しきなるおいふに似たり、古語に鳥ひ呼びてひといひし事は下に見えたり、みやまそびといふものは、其形そびに似て大きに、毛冠も大きくして、毛羽に白黒斑文あるなり、東国の俗に呼てきよもりなどいふなり、其故お問ふに、此鳥よく渇して水お好むによりて、清盛といふなりといふ、さらば古歌に奥山に水こふなどよみし水乞鳥といふものゝ類にや、詳なる事は知らず、〉