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藻塩草
十/鳥

ゆふつけ鳥〈世中さはがしき時、四境祭とて、おほやけせさぜ給に、鶏に木綿お付て四方関にいたりて祭と雲々、又暁になく夕つけのわび声にとよめり、鳥となけれ共、又たつ田かも読り、又立田によむ事は奈良京の儀也、〉 庭津雞 八声の雞 には雞〈是常の事也〉 くたかけ雞〈又隻くたかけ共ばかりにて、鳥となけれ共雲り、但小には鳥お雲也と雲々、異説雲、東国には家おくたと雲也、在家のくたくたしきお雲、かけとは家のには鳥と雲と雲々、たゞしこれいかゞ、〉 かけろ〈なく声也、さればかけろとなく共よめり、〉 かけ〈かけのたれおのみだれおと雲〉 雞のそらね〈函谷関にて鳥のまねおして、人に夜あけぬとおもはせたる事也、そらねはそらごと也、鳥のそらねははか〉〈るともとよめるも、たばかる也、はかり事也、〉 雞のね〈是庭鳥也、ことに夜にそへたらんはぜひにおよばず、〉 しは雞〈後になく鳥也〉 とこよの雞(○○○○○)〈あさくらや昔おかへす神がきに常世の鳥もなくかとぞきく、とこよの鳥とは、日神、天の岩戸にこもらせ給し時、神楽おして出したてまつらんとせし時、竜宮の鶏お取て夜はあけたると雲心になかせしと也、〉ねざめ雞(○○○○)〈蔵玉にあり〉 逢坂のゆふつけになく雞のね〈後撰〉 空なきしつる雞の声〈深夜にまづ一しきり声たてゝ夕つけとりは又ねしてけり〉